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■ スーパーマリオブラザーズ その4


《激闘! その後に残されたものと失われたもの・・・》


コントローラーをつかむと、汗がびっちょりでした。すでに勝負を終えた人達のなごりでした。
とてもリアルに
この大会の凄惨さを物語っていました。彼らは間違いなくでした。

僕はこのマリオ大会に出場するにあたって一つ秘策がありました。それは
フライングです。

わずか2分の勝負ですから、1秒、2秒というわずかな時間のプレイがどこまでものをいうかわかりません。そのわずかな間でコインを何枚取れるか分かりません。僕は緊張してスタートの合図を待ちました。

「よーい……」という審判の声が聞こえ、「スタート」の合図を聞く前に僕がスタートボタンを押そうとすると、
隣にいた「カバ」は既にスタートしてました。

「こいつ、ずりぃ」


と思いました。

ゲームが始まるともう何も聞こえませんでした。僕は本物のマリオになってジャンプしてました。コイン、コイン、キノコ、ジャンプ、コイン……。点数表示を見る余裕もありませんでした。

そして、僕には最終手段が残されていました。それは
粘る事です。

「そこまで」という終了の合図があっても、でき得る限り粘る。僕はそれまでの他の人達の戦いを見て、そういうささやかな不正が、どこまでなら見逃されるか熟知していました。いや、熟知していたつもりでした・・・

そこでも、僕は甘かったのです。

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