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■ スーパーマリオブラザーズ その5


《忘れられないソフトクリーム》


「そこまで!」

審判の合図がありました。僕はやめませんでした。本当はここで、ポーズをかけなければいけないのですが、何喰わぬ顔で粘っていました。

「やめてください!」

と、審判が再度注意しました。

この辺が潮時だなと思い、僕はポーズをかけました。でも、それがいけなかったのです。僕がポーズした時、他の5人の誰一人コントローラーを離していなかったのです!!!

「何ぃぃぃ―――!!!」

僕はキャプテン翼の日向君ばりに愕然となり、何が何だかわかりませんでした。

「やめてください!!!」

と審判がめちゃくちゃ大きい声を張り上げました。その声に
「カバ」はびくっと体が動いて、吸い込まれそうなため息を吐きました。その顔からはぼたぼたと汗が滴っていました。

「つくづく大人は信用出来ないな」
と僕は心に刻みました。


激闘が終わり、僕はその他の参加者のプレイが終わるまで待たなければいけませんでした。どうせ、入賞してるはずないのだけど、もしかしたらという事があります。

大体の小学生は諦めて帰っていきましたが、
「カバ」は帰っていませんでした。

「帰ればいいのに」

とすごく思いました。

最後の組が終わり、結果発表の瞬間です。

3位から順に発表されていきます。2位……。そして、チャンピオンは……「○○○○さんでーす」審査員が発表しました。僕の名前ではなかったのでがっくりしました。

だけど、優勝者はこんな大人数の中でチャンピオンになるなんてすごいなあと思いました。尊敬の念さえ抱いていました。僕は意外に素直でした。けど、すぐにそれも吹っ飛びました。

それが「カバ」だったからです!!!

信じられませんでした。こんな事が許されるのかと思いました。

「カバ」は壇上で

変なポーズでマリオの物まねをしました。

誰一人笑いませんでした。

参加者の小学生達、そして周りのおばちゃん達、みんなにひんしゅくをかっていました。僕は参加しなければよかったと思いました。僕の母親も 「何かあの人には勝って欲しくなかったね」 と言って僕の頭を撫でてくれました。

僕は絶対に許さないと強く思いました。何に対してか分からないけど、絶対に許してやるもんか!!!

僕の商品は鉛筆2本でした。帰りに母親が珍しくソフトクリームを買ってくれて、僕はそれを食べながらとぼとぼと帰りました。

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