《色とりどりの世界が僕を誘う》
もちろん、僕もそうだった。
たまに、お金持ちの子どもなんかがやってきて、10プレイ連続とかでやっていく。しかも、かなりの下手くそで、1プレイ2分もかからないうちに終わってしまうのだ。
「500円をたかだか20分かよ!!!(驚愕)」
と何度唇を噛んだことか!
「きっとこいつは、『夜ご飯がお茶漬けのみ』とか信じられないんだろうなぁ」
と、頭の中で他人の家庭環境を浸食する始末。卑屈バリバリ伝説だったのである。
そうしたある日、僕は文房具屋にてくてくと歩を進めていた。クレヨンを買うためである。
夏休みの自由研究で僕は「虹」の絵を描くことになったのだが、僕が持っているクレヨンセットには、「紫」色が入っていなかったため、「紫」色が入った24色のクレヨンを買う必要があったのである。それは500円だった。
しかも、母親は500円ぴったりしか持たせてくれなかった。僕がおつりで駄菓子を買うのを恐れたためである。しっかりした父の配偶者である。
さて、文房具屋に到着したのはいいが、「所用のため、3時から店を開けます」と書いてある。あと1時間くらい残っているなぁ。何をして待ってようかなぁ。
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