《絞りこみ・・・》
僕は、学校での日頃の行いや、Y君の「冒険の書」が賞賛を浴びていた時期の、
容疑者(あえて容疑者と言うが)たちの表情を思い浮かべていった。
その結果、僕は容疑者を3人に絞り込むことが出来た。
物的証拠はなかったが、僕にはこの3人の中に犯人がいるということを、
かなり強い思いで確信していた。
恐らく、学校の担任の先生では、この絞り込みは出来なかっただろうと思う。
子どもの方が、子どものことは分かっているのだから。
僕は、この犯人を3人に絞ったことについて、友人I君に相談しようかどうか迷った。
でも、結局やめておいた。
I君はもうその話題には触れたくなさそうだったし、何一つ証拠はないのだから。
それで、自分一人で分析を続けることにした。
少しの時間が経過して、クラスの中では、「犯人捜し」は終わろうとしていたが、
「盗んだ奴、許せねぇよな!」
という全体の意志みたいなものが、できつつあった。
Y君が依然として、しょんぼりしているのも、それを加速させたような気がする。
一方、僕は容疑者3人の状態から、更なる絞り込みを出来ずにいた。
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