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■ 消えた冒険の書 その5


《抜け目・・・》


「俺、犯人見つけたら、何回もぶん殴ってやる!」

きっと、
犯人はこのD君の言葉を恐れたに違いないのだ。
つまり、D君の仕打ちを恐れて、慌ててドラクエ3を返したのである。

なぜなら、Y君の「ドラクエ3紛失事件」からあれだけの時間があっても、
ソフトを返さなかった犯人なのに、突然返そうと思うわけがない。

そこには、
何か決定的な理由が必要なのだ。

しかも、自分で作成した冒険の書を消しておく作業さえ忘れている。

犯人は恐らく極度に慌てていたのだ。


その理由となるもの、それがD君のあの言葉だったのだ。
つまり、あの日、D君の言葉を聞いていた中に犯人がいる・・・
間違いない! 
それならばいろんなことの辻褄が合うのだ。

そういうことになると、

あの場に居合わせることが出来なかったY君の弟の友達は、犯人から消えざるを得ない。


また、現段階では残りの二人のどちらにも犯人の可能性が残っている。
僕は段々と、この「一人犯人探し」に夢中になっていった。

授業中も全然集中できなかった。それほどに
「犯人捜し」というものは甘美な作業だったのだ。
今思うと、あの瞬間の僕は本当に性格が悪かった。(まぁ、小さかったので勘弁して欲しいのだけれども・・・)

さて、僕は残りふたりの犯人の可能性について、何度も何度も頭を巡らせたが、
やっぱり、これだけの情報では、これ以上は進展しそうになかった。

それで、僕は一芝居打ったのである。

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