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■ 消えた冒険の書 その6


《ひっかけ・・・》


その日の放課後。予想通り、話題は「消えたドラクエ3」だった。
いつものように、クラスメート7,8人が集まっている。

もちろん、その中に犯人候補2人もいる。

話が盛り上がってきたところで、僕は犯人候補2人の顔が同時に見渡せる位置に移動し、そして言った。

「でも、あの勇者の名前をさ〜、『あほろ』ってつけた犯人、馬鹿だよな。相当、頭わりーよ」

2人とも表情は変わらない。でも、それも無駄だった。
僕には必殺技が残されていたのである。

「だって、『あほろ』だぜ。多分、犯人のお母さんと、お父さんも、相当な『あほ』なんだよ。
『あほ』、『あほ』、家族全員『あほ』なんだよ!」


そして、1人が動いた・・・

そんなこと言うなって。親は関係ねえだろ」

君だったんだね、T君・・・

みなさんも理解できると思うが、小学生でつらい出来事の一つに、


「親を馬鹿にされること」

というものがある。

これは、
小さい子どもにとって、自分のことを馬鹿にされることよりも、数倍つらいことである。

今回はその子供の悲しきサガを逆に利用させてもらったのだ。

まず、それまでの場の空気から言って、犯人側を弁護するような言葉が出てくること自体おかしいのだ。
それが例え、犯人の親への批判だったとしても。
事実、T君だって、それまでは犯人のことを「ボロクソ」に言っていたのだ。

それが、親への批判に変わったくらいで、突然弁護側につくのは、誰がみてもおかしかった。

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