《顛末、その後・・・》
ただ、だからといって、T君が犯人だということを、その場にいたみんなが理解できたかというと、
それは絶対になかったと思う。
ここまで冷静に分析してきた僕だからこそ、すでに犯人候補を2人に絞っていた僕だからこそ、
理解できただけで、他のみんなは、
「T君、犯人の親をかばうなんて、えらいなぁ」
くらいにしか思わなかったんじゃないかと思う。
Y君のレベル99の冒険の書を消し、代わりに、「あほろ」という名前を勇者につけ、
新しい冒険の書を作ったT君の気持ち。
正直言って、僕には理解できなかった。
ただ、T君が犯人だと分かった後で、よくよくT君を観察してみると、どうやらそれは、
Y君に対する「単なる嫉妬」
だったのではないかと思う。
つまり、気に入らなかったのだ。
ただ、それだけなのだ。
次に僕は、僕から「犯人の親は『あほ』だ」と言われた、T君の気持ちを考えた。
きっと、T君はまさか自分の親が批判されるとは、夢にも思っていなかっただろう。
|